シリーズその③ 「経営者に考えて欲しい「公」と「私」」 第4話 「業務改善ケーススタディ」
- ritsu_dragon

- 2024年7月11日
- 読了時間: 1分
読者の皆さん、こんにちは。
株式会社ユナイテッドの藤田です。
こちらのブログでは、私が公認会計士及び経営者として経験した事例をもとに、日本の企業をもう一度輝かせるためのさまざまな考察や提案を配信していこうと考えています。
シリーズその①では、課題解決の入り口として、壁打ちコンサルについてご紹介しました。
シリーズその②では、「人材開発」を取り上げ、カウンセリングについてご紹介しました。
そしてシリーズその③では、企業経営において私がとても大事にしている「公」と「私」について解説したいと思います。
第4話は、「業務改善ケーススタディ」というテーマで、ある事例をもとにして「公」と「私」のあり方を考えてみたいと思います。
業務改善事例の概要
今回は、業務改善を私が担当したB社の事例をご紹介します。
業種は卸売業ですが、製造子会社や整備部隊も抱えていて、少し大きめの中小企業です。いわゆるオールドエコノミーの領域に属するビジネスで、確実にニーズはあるが価格競争も激しく、かつ成長性には乏しい業界でした。
創業社長がワンマンな方で、よく言えばエネルギッシュなのですが、言い方を変えると強引な人でした。若い時にはその情熱で会社の業容拡大を進めてこられたのだと思いますが、高齢になった現在は頑固さばかりが目立って柔軟さを失い、社内でも空回りしている様子でした。
一方B社の社員は、決して高学歴ではありませんでしたが、不思議なぐらいにとても優秀な人材が揃っていました。平均年齢も若く、素直で理解力の高い人が多かった印ことを覚えています。恐らく、創業社長が若かった頃にその情熱に惹かれて入社した人が、良い社内風土を作ったおかげではないかと思います。
ただし取締役には人材がおらず、皆さん創業社長のイエスマンばかりでした。
B社は中小企業の中では大きい方でしたが、会社の成長に比べて社員への還元が不足していて、社員から待遇に関する不満が多く出ていました。創業社長は社員全員から慕われていると思っていて、自分の気持ちを社員がよく理解してくれていると勘違いしていたようですが、実際には待遇に対する不満で会社を辞める若手社員がかなりいました。せっかく良質な人材を抱えているのに、その人材の育成や指導を怠り、待遇面での説明や対策も不十分で、かなり危険な状態にありました。
そこで私が主導して、業務改革プロジェクトを立ち上げ、社員の声をきちんと拾い上げ、経営に活用することで、社内のギャップを埋めようとしたのです。
どんな偉い人でも、絶対に歳には勝てない
私はこのプロジェクトを進めるに当たって、参加した社員に1つの質問を投げかけました。「君たち若手・中堅社員が、社長や他の取締役に比べて絶対的に勝っていることは何か?」というのが質問ですが、誰も正解することができませんでした。答えは、「年齢(若さ)」です。どんなに優れた人でも、いまどんなに偉そうにしている人でも、いつかは会社を退くことになる。君たちの方がはるかに若いのだから、転職しない限り必ず君たちの時代が来るのだ、と説明したのです。人間というのは、心のどこかで現状をベースに物事を考える癖がついています。5年たてばあの人はいない、10年たてばこの人もいない、そういうことを具体的にイメージできれば、上司の言うことも10年後にメリットのある話なのか考えるようになるし、メリットがなければ自分が何をしなければならないかを考える癖がつくようになるのです。いわば最も手っ取り早い形で社員の意識改革を狙ったのですが、もともと理解力のある素直な社員が多かったこともあり、その後は彼らの目の色が変わったことを覚えています。
私が彼らに言いたかったことは、「会社の将来を支える自覚」です。目の前にある課題が他人ごとであれば、自分の知ったことではありませんが、自分ごとであれば当然ですが必死になります。終身雇用が崩れたとはいえ、日本人にとっての転職はまだまだハードルの高いものです。であれば、平日のほとんどの時間を費やし、経済的収入のほぼすべてを依存し、社会的な地位を約束してくれる会社の将来は、間違いなく自分ごとなのです。私は、自分ごとなのであれば黙っていてはダメで、積極的に会社の将来を支えるための行動を起こそうと檄を飛ばしました。頭の良い社員が、会社の将来に行き詰まりを感じていたので、彼らはこの檄にすぐ応じてくれました。
業務改善のコンサルを進める場合、「答えは現場にある」のが鉄則です。事業の大きな方針やそれに基づく仮説は経営者が決めることですが、その仮説が正しいのか、他に見落としている課題はないのかなどを確かめるためには、現場の声が不可欠です。ですがサラリーマンというのは、特に従順な農耕民族である日本人にその傾向か強いのかもしれませんが、自分の意志なく現状に流される人が多いようです。現状に対して明確な自分の意志を持たない人に、業務改善のネタとなる課題を出してもらうことは不可能です。なので私は、現場にあるはずの答えが確実に浮き出てくることを期待して、社員の意識改革を図ったのです。
「業務改善ケーススタディ」というタイトルで、「公」と「私」のあり方について解説するつもりでしたが、本題にたどり着く前に紙数が尽きました。
すみませんが、続きは明日にさせてください。
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