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シリーズその④ 「PMI体験記」第7話「経営統合」

読者の皆さん、こんにちは。

株式会社ユナイテッドの藤田です。

こちらのブログでは、私が公認会計士及び経営者として経験した事例をもとに、日本の企業をもう一度輝かせるためのさまざまな考察や提案を配信していこうと考えています。

シリーズその①では、課題解決の入り口として、壁打ちコンサルについてご紹介しました。

シリーズその②では、「人材開発」を取り上げ、カウンセリングについてご紹介しました。

シリーズその③では、「公」と「私」について私の考えをご紹介しました。

そしてシリーズその④では、「PMI体験記」をお送りしたいと思います。

本日は第7話として、「経営統合」についてお伝えします。


経営統合とは

第1話でご説明しましたが、経営統合とは、買収された子会社の経営管理システムを親会社の仕組みに統合することをいいます。両社の経営理念・ビジョンを比較して、子会社が持つ強みを損なうことなく、親会社グループで期待された機能を発揮できるようグループに組み込みます。その上で、経営戦略、ガバナンス、予算管理などを決定し、統合していきます。

統合ですので、片方がもう片方に合わせることになり、当然ですが親会社が優先されることが一般的です。ですが、何でもかんでも統合するとは限らないことにご注意ください。例えば卸売業、つまり商社的なビジネスをしている親会社が、製造子会社を新しく持つ場合、商社とメーカーでは基本的なビジネスモデルが異なりますので、そもそも経営理念やビジョンも異なるはずです。こういう場合に、商社的な発想を押し付けられれば、メーカーの良さが消えてしまうことも考えられます。恐らく、商社単体の時に掲げていた経営理念やビジョンは、製造機能も含めたより包括的な概念に変容させる必要があるはずで、こういった場合は「統合」というより「融合」と言った方が適切かもしれません。その他にも、経営戦略、ガバナンス、予算管理など、経営管理の仕組みを統合していく必要がありますが、これも上記の例と同じく、「統合」にこだわらずに「融合」が必要なケースがあることにご留意ください。

私がなぜ「融合」にこだわるかといえば、これまでに経営統合がうまく行かないパターンを何度も見て来たからです。親会社の経営管理が適合しないのに、子会社に押しつけてしまうのは、子会社にとってみればたまったものではありません。今までうまく行っていた経営の仕組みから、急に合理性のない不慣れな仕組みに変更するのですから、業務上の負担も心理的な抵抗感も増大します。それだけではなく、経営上の重要課題が隠れてしまったり、迅速な意思決定ができずビジネスチャンスを逃したり、業績に悪影響を及ぼすこともあります。また、「統合」するには無理があるために、不完全なまま放置するケースもありました。そうなると、買収時に期待したグループシナジーが、十分に発揮できないこともあります。そのような結果にならないために、親会社の側も柔軟に変化する「融合」が必要なのです。

S社における経営統合

ここからはS社の事例紹介になりますが、結論から言うと私はS社の経営統合に関して「先送り」という選択肢を取りました。理由は大きく2つあって、1つは無理に統合すると弊害が大きかったのと、もう1つは先送りにした場合の弊害が見当たらなかったためです。

無理に統合する場合の弊害は、P社の側に原因がありました。P社は当時、S社以外にもいくつか子会社を持っていましたが、PMIが不完全というか、むしろほとんど手つかずでした。経営理念やビジョンがP社の祖業を対象としたもので、業種業態の異なる子会社をグループ化した時代に耐えられるものではなかったのです。グループ経営という発想が未熟で、他の子会社もバラバラで経営していたので、この状況でS社だけ無理に経営統合しても、グループ内ではむしろ不協和音を出すことになります。ですのでP社グループで経営統合しようと思えば、まずは経営理念やビジョンをグループ全体を包含する概念に刷新し、その後に他の子会社と足並みをそろえて統合する、という段階を踏む必要がありました。

以上の理由から、私がS社において実施した経営統合(と言えるほどではありませんが)は、P社取締役会への報告フォーマットと、予算管理制度の導入、稟議決裁制度の導入、この3点だけでした。予算管理と稟議決裁は、P社の規程をS社向けに微調整しただけですので、ほとんど大したことはやっていません。


 
 
 

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