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シリーズその④ 「PMI体験記」第8話「業務統合」

読者の皆さん、こんにちは。

株式会社ユナイテッドの藤田です。

こちらのブログでは、私が公認会計士及び経営者として経験した事例をもとに、日本の企業をもう一度輝かせるためのさまざまな考察や提案を配信していこうと考えています。

シリーズその①では、課題解決の入り口として、壁打ちコンサルについてご紹介しました。

シリーズその②では、「人材開発」を取り上げ、カウンセリングについてご紹介しました。

シリーズその③では、「公」と「私」について私の考えをご紹介しました。

そしてシリーズその④では、「PMI体験記」をお送りしたいと思います。

本日は第8話として、「業務統合」についてお伝えします。


業務統合とは

業務統合とは、買収された会社の業務の流れやルールを、親会社の仕組みに統合することをいいます。まずは組織の全体的な構成を変更し、部署や拠点のあり方を見直します。拠点は親会社の拠点と統廃合することもありますが、人事異動や退職が絡むので、急がず計画的に実施しましょう。次に、規程や実施要領などのルールを変更します。そして、変更後の業務プロセスが固まったら、関係者とすり合わせを行い、業務上の支障がないか再確認します。ここまで済んだ後に、人事の見直し、ITシステムの統合、会計処理の統合などを実施することになります。

業務統合は、日常のすべての業務を見直すことになりますので、その項目と作業量は膨大です。また、書類の様式変更や、承認手続きの変更など、ある程度短期間でできるものもあれば、ITシステムの共通化など、かなりの時間がかかるものもあります。ですので、作業の全体量を把握し、時系列に順番づけし、誰がいつどんな方法で遂行するのかをWBS(Work Breakdown Structure=作業分解構成図)で管理することが一般的です。WBSの詳細な説明は割愛しますが、ネット検索すればいろんなサンプルが出てきますので、それを参考にしていただければと思います。

S社の業務統合

S社の業務統合は、主に人事、給与、組織に関する部分をいくつか見直しました。業務統合の項目と作業量は膨大だと前章でご説明しましたが、私は最低限の見直ししかしていません。理由は、P社とS社は隣接業種ながらも異業種で、お互いの商流に影響を与えることがなかったことと、P社の業務プロセスでS社が模倣すべきものがなかったことが挙げられます。

人事、給与、組織に関する変更も、親会社に合わせた大幅な変更ではなく、現状の不具合を微調整でした。何度かご説明している通り、S社の業務体系はかなり整えられており、それ自体の問題点が少なかったですし、P社の制度と比べても著しく不公平な部分は見当たらなかったため、見直しの必要がなかったからです。

人事評価及び給与・賞与査定の見直し

私が人事評価と給与・賞与の見直しを行った理由は単純明快で、「信賞必罰の徹底」が必要だったからです。私が赴任してすぐに、冬の賞与の査定がありました。その査定項目はおおむね問題なかったのですが、中には態度の良い悪いや、身だしなみがきちんとしているかどうかなどの項目も入っており、そういった人の解釈でどうにでもなる評価基準が結構なウェイトを占めていたので、これは修正すべきだなと感じたのです。あいまいな評価基準がすべて悪いとは言いませんが、あまりにも多すぎると、評価される側は何をどう頑張ったら評価されるのか、分からなくなってしまいます。また評価する側も、自分の解釈次第で部下の評価をどうにでも変えられるということになると、個人的な感情で人事評価を歪めてしまう可能性があります。

人事の要諦は、何と言っても「信賞必罰」です。自分が頑張れば、会社がちゃんと評価してくれると信じるからこそ、社員は会社のために働きます。頑張っても評価されないとか、頑張らなくてもとがめられないとか、貢献と報償のバランスが崩れると、会社の競争力は弱まってしまうのです。

私は、過去数年間でS社が行った評価の実績(評価コメントも含む)を閲覧して、評価基準の全体を見直しました。やはり、あいまいな評価基準にはあいまいなコメントしかなく、なのにちゃんと点数化されて給与や賞与が決定されていたので、これは変えなければならないなと思いました。人材領域におけるS社の競争力の源泉は、「優秀で献身的な社員の貢献」に尽きます。「優秀」という部分を評価するのは、スキルマップと作業実績です。「献身的」という部分を評価するのは、残業や休日出勤への対応実績です。いずれも客観的な実績で評価されるものであり、私はこれを評価の軸にするよう変更しました。またそのために、スキルマップについても見直しを行ったのですが、その解説は後日に譲ります。

組織と職階の部分的見直し

組織と職階についても、少しだけ見直しました。組織に関しては、読者の皆さんにとってあまりご参考にならない部分なので、詳細な説明は割愛しますが、製造部と品質管理部の役割分担の見直しと、営業部の役割の拡充を行いました。営業部の役割の拡充は、私がこの後実施した新規顧客のマーケティングに関係しますので、その時に解説します。

職階について見直したのは、サブリーダーの位置づけです。もともとS社の職階は、取締役(部長兼務)⇒リーダー(現場の班長)⇒サブリーダー(リーダーの補佐)⇒作業員という階層を持っていました。職人の腕が競争力に直結する会社なので、このようなフラットな構造は合っているのですが、サブリーダーの位置づけだけあいまいでした。また、サブリーダーとしての手当ても明確化されておらず、いわば中途半端なポジションの社員に割り振る役職となっており、制度設計が甘かったと言えます。

そこで私は、サブリーダーの職能を以下の2つに明確化しました。1つは、将来リーダーになるべき人の登竜門として、もう1つは、マネジメントは下手だが職人としての腕が確かな社員を「マイスター」として処遇するポストとしてです。本来はこの2つも別々の役職にしたかったのですが、私の在任期間の関係であまり大幅な変更は避けたいという意識が働いたので、このようになりました。

将来の登竜門という職能は、ごく当たり前なので説明を割愛しますが、「マイスター」については強いこだわりがありました。人間誰しも、向き不向きがあります。同じく優秀な職人で、献身的に仕事をこなしてくれる人でも、そのままリーダー⇒部長と出世する人もあれば、組織のマネジメントが苦手で管理職には不向きの人もいます。私はこの、マネジメントは苦手だが会社にはきちんと貢献してくれる人を、会社として大事にしなければならないと考えたのです。先頭に立って人を率いるのは苦手であったとしても、技術的な疑問に的確に答えてあげるとか、リーダーをきちんとバックアップしてくれるとか、豊富な経験で現場の安全に配慮してくれるとか、そういった貢献も会社がちゃんと評価して、社員への感謝を形にする必要があると思ったのです。そういう意味で、「マイスター」であるサブリーダーは、縁の下の力持ちをきちんと評価するために創設されました。


 
 
 

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