シリーズその② 「カウンセリングのススメ」 第2話 「カウンセリングとは」
- ritsu_dragon

- 2024年6月20日
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読者の皆さん、こんにちは。
株式会社ユナイテッドの藤田です。
こちらのブログでは、私が公認会計士及び経営者として経験した事例をもとに、日本の企業をもう一度輝かせるためのさまざまな考察や提案を配信していこうと考えています。
シリーズその①では、課題解決の入り口として、壁打ちコンサルについてご紹介しました。
シリーズその②では、どの会社にもほぼ共通した課題で、なおかつ改善の効果が最も出やすい領域として「人材開発」を取り上げ、「カウンセリングのススメ」というタイトルで解説したいと思います。
第2話は、「カウンセリングとは」についてお伝えします。
カウンセリングとは何か
カウンセリングという言葉の定義には色々ありますが、最も一般的に使われているのは、「カウンセリングとは、相談者の抱える問題や悩みに対して、専門的な知識や技術を用いて行う相談・援助」というものです。
これを会社で実施するカウンセリングに即してアレンジしますと、「カウンセリングとは、社員の抱える業務上の問題や悩みに対して、会社の立場から助言・指導・援助するもの」と言い換えることができます。
ここで最も大事なのは、「業務上の」と「会社の立場から」という2点です。
これは会社の制度として実施するカウンセリングで、よろず悩み相談室ではありません。何でもかんでも聞いてあげますというスタンスは間違っていて、会社の目的達成に絞った業務上の話だけに限定しないといけません。ただし、私生活の問題が業務に影響することは良くありますので、その場合の対応策は後述します。
またカウンセリングは、相談者に対するカウンセラーの立場をどう定義するかがとても大事です。これをおろそかにすると、相談者はカウンセラーへの信頼を失い、中身のない上っ面だけのカウンセリングになります。これは会社が行うカウンセラーですので、「会社の代弁者」という立場を絶対に崩さないでください。ここでいう会社は、自然人である社長ではなく、法人(シリーズその①で解説した「公」の概念と同じ)である会社を指します。
コーチングとの違い
カウンセリングの類似語で、コーチングというものが一時流行しました。両者の違いをあまり詳しく解説はしませんが、カウンセリングは現在の問題や悩みを対象としており、癒しや回復を目的とするものです。一方コーチングは、将来の目標や願望を対象として、相談者本人に内在する答えを引き出すことを目的とするものです。
私は監査法人にいた時に、特別に選抜されてコーチング研修を半年ほど受けました。かなりバカ高いお金がかかっていたはずなのでありがたかったですし、私自身それなりに得るものはあったのですが、正直なところあまり人にはお勧めしません。この手法は、受講者側がかなり深掘りして自分の内面を見つめる洞察力が必要とされるのと、肝心の答えが未成熟であればコーチがいくら引き出しても出てこないので、効果が出る人はかなり限定的だと思うからです。コーチングは限られた上級幹部を対象とするのが通常ですが、上級幹部向けには会社が抱えている現実の課題でOJTをさせる方が、人材開発という点では効果があると私は思っています。
カウンセリングに期待する効果
会社がカウンセリングを導入することで、どのような効果が期待できるでしょうか。
まず第1は、従業員の考えを聞くことができます。従業員数万人の大企業であればなおさらですが、数十人の中小企業であっても、意外に従業員の声を聴く機会はありません。昨日のプロ野球の勝敗とか、週末の競馬の馬券予想とか、とりとめもない会話は色々あるでしょうが、会社がどうなったら良くなるとか、いま従業員が何で困っているかとか、大事な話はちゃんと聞かなければ出て来ません。
従業員との関係をきちんと設定して、正しくカウンセリングができれば、彼らから得られる情報は新鮮であり、かつ重要な示唆を含んでいます。従業員からの意見をもとに、会社を改善するネタを拾うことができるのです。
第2に、会社の考えを伝えることができます。ここで大事なのは、上述したように「会社の立場から」伝えることです。従業員が会社に不満を持っていることはどの会社でも珍しくありませんが、その原因の大部分は、単に「会社から何も知らされてない」からなのです。従業員は、会社がこの先どうやって伸びていくのかという目標や、その中で彼がどんな成果を期待されているのかを知ることで、より意欲をもって積極的に業務に取り組んでくれるようになります。
第3に、従業員の帰属意識が高まります。人には誰でも承認欲求がありますので。会社が自分の話を聞いてくれた、会社の方針や自分に期待することを話してくれた、これだけで嬉しくなって愛社精神が生まれるのです。
第4に、人材のレベルが底上げされます。カウンセリングは、会社がこの先どうなりたいかを伝えると同時に、個々の従業員にどうなって欲しいかを伝える場でもあります。スキルを磨くのか、マネジメント力をつけるのか、取引先との人脈を構築するのか、従業員の成長に向けた目標管理をすることで、人材レベルが大きく上がります。
第5に、人員構成の適正化を図ることができます。従業員には色々なタイプがいますが、それを的確に見抜くことは簡単ではありません。誰が見ても優秀な人ばかりではなく、仕事ぶりは地味だけどよく見れば優秀だという人もいます。また、一見頑張っているように見えて裏で狡猾な手抜きをしている人や、毒をまき散らして周囲のモチベーションを下げてしまうような人もいます。人事の要諦は信賞必罰に尽きますので、従業員の貢献度を的確に把握して、適材適所を心がけることで、組織の活性化を図ることができます。
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