シリーズその① 壁打ちコンサルのススメ 第1話
- ritsu_dragon

- 2024年6月11日
- 読了時間: 1分
更新日:2024年6月18日
読者の皆さん、こんにちは。
株式会社ユナイテッドの藤田です。
こちらのブログでは、私が公認会計士及び経営者として経験した事例をもとに、日本の企業をもう一度輝かせるためのさまざまな考察や提案を配信していこうと考えています。
まずはシリーズその① 「経営者のパートナー」壁打ちコンサルのススメについて配信したいと思います。本日は第1話「壁打ちコンサルとは」についてお伝えします。
壁打ちコンサルとは何か?
読者の皆さんは、「壁打ち」という言葉を聞いたことがありますか?
私は学生時代にテニスをしていたのですが、壁に向かって打球を何度もぶつけるテニスの反復練習のことを、一般的には「壁打ち」といいます。ですがコンサルの世界でも、このテニス練習になぞらえて、「壁打ちコンサル」なるものが存在します。それは、経営者が自分の会社の経営に関する諸施策(構想策定や事業計画立案などの重要事項から、人事異動や取引先との商談などの日常業務に至るまで)をまとめるにあたって、もっぱら聞き役や論点整理役としてサポートするコンサルのことを言います。
壁打ちコンサルにおいては、コンサルタントが積極的に自分の経験や知識を披露することはありません。むしろ、経営者の頭の中にあるがまだ具体化していない結論を、聞き取りや論点整理や確認作業によって引き出すタイプのコンサルとなります。積極性に欠ける地味なコンサルではありますが、経営者の思考(打球)をひたすらはね返す壁に似ているので、このように名づけられました。
では、この壁打ちコンサルはどんな時に使えば効果的なのでしょうか。
経営者は孤独
私は今までに多くの経営者とお会いしてきましたし、私自身も経営者を経験していますが、総じて言えることは皆さん孤独です。経営者は会社の最高責任者として、株主、従業員やその家族、取引先、銀行、地域社会など多くの利害関係者に対して多大な責任を負っています。その一方で、気軽に相談できる人はそれほど多くなく、重大な経営判断を迫られた時にせよ日常の細かな悩み事にせよ、自分で抱え込まざるを得ない場合が多いです。なぜなら、経営者の言動は普段から注目を浴びますので、生煮えの段階で出た情報が変に拡散されることによって、誤解や疑心暗鬼を呼ぶ恐れがあるため、うかつに口外できないからです。重い責任を背負って、普段から悩み事を抱えていて、適切な相談者がいない、これが私が考える典型的な経営者像です。
「そういう時にこそ、外部のコンサルタントに依頼するべきではないのか」という意見もあると思いますが、実はこれがなかなかうまくはいかないのです。
専門コンサルに頼めるタイミング
コンサルタントという仕事は、これまでに培った経験や実績をもとに、顧客に対して専門的な支援や助言をするサービスを言います。その種類は多岐に渡っており、人事コンサル、業務コンサル、ITコンサルなど専門分化しています。
経営者にとっての悩みが明確で、どんなコンサルに頼めばいいのか分かっているのであれば、問題は解決するかもしれません。ですが、経営者の悩みは複合的であることが多く、経営者自身さえ気づいていない課題が存在することも珍しくありませんので、最初から専門コンサルに依頼したのでは抜け漏れが発生してしまい、問題の根本的な解決に至らないことも多いのです。このようなケースにおいて、壁打ちコンサルが有力な解決策となる場合があります。
壁打ちコンサルによる課題整理
私には数十年来の友人がおり、従業員30人ぐらいの中小企業の経営者なんですが、その彼とのやり取りを事例としてご紹介します。
私と彼とは友人関係であり、コンサル契約などは結んでいませんが、飲みに行ったりゴルフに行ったり、顔を合わせる機会によく会社の話を聞きます。採用の話、給与の話、取引先の話、人事の話、資金繰りの話など、話題は多岐に渡りますが、どれも彼が直面している課題や悩みに関するものです。私はそれをほとんど相づちだけで、たまに質問や確認を挟みますが、ひたすら聞くことに専念します。そして最後に、どんな事象が起こっているのか、何が問題なのか、それをどう解決したいのか、内容を整理して彼に確認します。そうすれば、彼はスッキリして翌日から会社で解決策を実行に移すのです。彼も私の言動を注意深く観察しており、すんなりと理解したのか、疑問に感じて質問を返したのか、難しそうな顔で彼の意図を確認したのかによって、自分が自信をもって行動に移せるか、それとももう少し考え直すべきなのか、判断材料にしているのです。
経営者の悩みと取りうる解決策を整理して、前に進む勇気と活力を与える、これが壁打ちコンサルなのです。
壁打ちの重要ポイント
壁打ちコンサルを実践するにあたって、重要なポイントが2点あります。
1点目は、コンサルを受ける経営者側が、会社の課題に関して自分の考えや課題をきちんと言語化することです。
2点目は、壁の役割を果たすコンサル側が、余計な細工をせずに来た球をそのまま打ち返す、ということです。
この重要ポイント2点については、第2話「言語化のメリット」及び第3話「壁打ちのルール」において解説します。
コメント