時事ネタ配信 「事業承継セミナー(専門家向け)に参加して」
- ritsu_dragon
- 2024年6月22日
- 読了時間: 1分
読者の皆さん、こんにちは。
株式会社ユナイテッドの藤田です。
こちらのブログでは、私が公認会計士及び経営者として経験した事例をもとに、日本の企業をもう一度輝かせるためのさまざまな考察や提案を配信していこうと考えています。
これからはシリーズネタだけではなく、時事ネタも随時皆さんにお伝えするつもりだったところ、ちょうどいいのが見つかりました。
今回は時事ネタとして、「事業承継セミナー(専門家向け)に参加して」というタイトルでお送りします。
セミナーの概要
6月20日に、大阪産業創造館で大阪府地域支援機関連携会議という会合が開催されたので、出席してきました。これは、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターという、国が設置した事業承継の相談窓口が主催した説明会で、中小企業の事業承継を推進するために、顧問などの立場にいるいわゆる士業(弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士など)に先導役をしてもらうための取り組みでした。
説明会は2部制で、第1部は大阪府事業承継・引継ぎ支援センターが行っている業務の概要説明で、第2部は士業の人がM&A支援を行う場合のポイント紹介でした。
本日は読者の皆さんにとって、ご興味がありそうな部分を抜粋してご説明します。
中小企業経営者の高齢化により、事業承継が喫緊の課題となっている
日本に380万社ある中小企業のうち、2025年には約半数が廃業の可能性ありとされているそうです。アンケートによると、全体の約50%がすでに廃業を予定していますが、中には事業承継の意向がありながら、後継者が決まっていない企業が22%もいるということでした。
私は、すべての企業が生き残るべきだとは思っていません。経営者が高齢化し、お客さんが高齢化し、設備が老朽化し、仕入先も減少している企業は、多くが歴史的役割を終えていると言えます。そのような企業は市場から退出し、新しい企業にその座を譲ることが、資本主義社会として当然の新陳代謝だからです。ですが、まだ世の中のニーズがあり、生まれ変わることができる企業は、きちんと形を整えて事業承継して欲しいと願っています。私が事業再構築を推進しているのは、まさにこういった企業のためなのです。
小規模企業の事業承継を支援するプレイヤーが足りていない
年商3億円未満の小規模企業が104万社いるそうですが、そこを支援できる専門家の数が足りておらず、だから士業を巻き込んで支援体制を整えようとしています。また、新規参入する業者は増えているものの、専門性が不足していたり、公正性、中立性に対する考えが甘かったりなど、支援者のレベルにも問題が出ていることから、その意味でも士業の関与に期待がかかっているようでした。
ただしその説明の中身ですが、中規模から大規模の案件は、支援専門家にとっても儲かるのでそこは俺たち(M&A仲介会社やコンサル会社)がやる。だから儲けが少ない小規模案件は君たち士業さんがやってね、という風に受け取れるものでした。講師はコンサル会社の人でしたが、まあ手前勝手な話でいい気はしなかったです。
譲渡企業の事業価値を上げる仕組みがなく、そのまま承継しようとしている
これは私がこの制度に関して最も疑問を感じているところですが、譲渡したい企業の吟味が足りていないようです。経営者が事業承継を希望していても、それが叶うかどうかは分かりません。長期にわたって事業を継続している企業は、要改善事項が蓄積していることが多いので、承継のためには相当のテコ入れが必要ですし、経営者の期待に添えず廃業しかない場合もあります。誰かがそこを見極めなければならないはずで、誰が見ても買い手のつかない案件なのに、いつかは事業承継できると誤った期待を持たせかねない今の仕組みは、経営者にとってお気の毒です。古い自動車のメンテナンスと同じで、経営者の交代だけではなく、仕入先、販売先、取扱商品、設備、従業員など、全パーツを点検・交換するつもりで吟味するような、いわばオーバーホール型の仕組みが必要だと痛感しました。
PMIの重要性を認識しつつも、支援するプレイヤーが不足している
PMIとは、日本語で言えば買収後統合作業のことで、買収された企業が親会社のグループ企業として機能するよう、組織や制度を整える作業のことを言います。具体的には、人事制度、給与体系、組織、会計制度、システム、諸規程などをグループ会社のフォーマットに合わせることになります。
PMIは組織変更、制度変更、ルール変更で対応すれば一応の形式は整うのですが、実質として最も大切なのは子会社従業員のマインドチェンジです。親会社の言いなりになる必要はありませんが、だからといって親会社を進駐軍扱いして何もかも抵抗するのは間違っています。お互いが理解を深めあって、グループとして共通の目標を達成するためにそれぞれの役割を果たす、このような関係を築くことが大切です。
PMIに関しては、改めてシリーズ解説したいと思っています。
全体的な感想
事業承継が待ったなしの社会課題になっていることが、出席者からの緊張感で伝わって来るような会合でした。その一方で、火事場泥棒的にドサクサで甘い汁を吸おうというプレイヤーの影も見え隠れしたように思います。また、私が推進している事業再構築が、事業承継を希望している経営者の役に立つ可能性が実感できたことも、収穫として挙げられます。
今後も、続報があればお伝えしたいと思います。本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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