時事ネタ配信 「経営者に知って欲しいSDGs」
- ritsu_dragon
- 2024年7月1日
- 読了時間: 1分
読者の皆さん、こんにちは。
株式会社ユナイテッドの藤田です。
こちらのブログでは、私が公認会計士及び経営者として経験した事例をもとに、日本の企業をもう一度輝かせるためのさまざまな考察や提案を配信していこうと考えています。
今回も時事ネタをお届けしたいと思います。
本日は、「経営者に知って欲しいSDGs」というタイトルでお送りします。
SDGsとは
SDGsとは、日本語で直訳すると「持続可能な開発目標」のことで、「Sustainable Development Goals」の頭文字を取って「エス・ディー・ジーズ」と読みます。 SDGsは、地球上に存在する深刻な諸問題に正面から向き合い、このままでは地球が滅亡してしまうという危機感のもと、貧困を終わらせ、地球環境を守り、すべての人々が平和と豊かさを享受できる世界の実現を目標としています。
SDGsは、2015年に開催された国連サミットにおいて採択され、2030年までに達成すべき目標が以下の17項目として掲げられています。
① 貧困をなくそう
② 飢餓をゼロに
③ すべての人に健康と福祉を
④ 質の高い教育をみんなに
⑤ ジェンダー平等を実現しよう
⑥ 安全な水とトイレを世界中に
⑦ エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
⑧ 働きがいも経済成長も
⑨ 産業と技術革新の基盤を作ろう
⑩ 人や国の不平等をなくそう
⑪ 住み続けられるまちづくりを
⑫ つくる責任、つかう責任
⑬ 気候変動に具体的な対策を
⑭ 海の豊かさを守ろう
⑮ 陸の豊かさも守ろう
⑯ 平和と公正をすべての人に
⑰ パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsはグローバルな目標であるため、個別の企業や個人の行動に結び付きにくいことや、国家間での足並みが揃っていないなどの課題もありますが、徐々に浸透されつつある考え方です。本稿は、SDGs自体の解説ではありませんので、上記17項目のご説明は割愛して、会社経営に関連しそうなところで、最低限ご理解いただきたい事項について解説したいと思います。
中小企業経営者にとってのSDGs
まずお伝えしたいことは、SDGs が掲げる目標の大きさに比べて、中小企業は影響力があまりにも小さいので、主導的な役割を果たす必要はないということです。目標の大きさにひるんでしまい、手をこまねくのではなく、手近なことから始めましょう。例えば、フードロス対策として売れ残り品を再販するとか、古着を店頭で集めて貧困地域に送るとか、自分でできる範囲で、社会に貢献する取り組みをすれば十分です。
また、「ウチの会社は自社の業績維持で手一杯なので、そんなことしたくない」という方もおられると思います。SDGsは自主的な取り組みなので、無理をする必要はありません。ですが、社会の流れとして、公益に貢献する企業を優先しようという考え方が、確実に定着していることは意識してください。欧米の大企業を中心に、一定の社会貢献をしている会社と取引するようなポリシーを掲げたり、社会貢献している企業の製品かどうかで消費者が購買判断したりなど、選別の基準になっているのです。
このような選別が、もっと具体的な取引基準として会社に課せられることがあります。皆さんの会社の取引先(またはその先)が、SDGsに積極的な取り組みをしている企業で、その目標の達成のために取引先にも協力を要請する場合があるのです。よく事例として挙げられるのは、下記の3点です。
具体的事例
まず1点目は、カーボンニュートラルへの協力となります。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素(を含む温室効果ガス)を削減して、排出量と除去・吸収量を差し引きゼロにしようという活動です。日本では2030年までに2013年度に比べた温室効果ガスを46%削減すると公約しており、さらに2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げています。この動きに合わせて、日本中の大企業が削減に向けた具体的な活動を開始していますが、自社だけでどれだけ削減しても、取引先が温室効果ガスを大量に排出しながら作った部品を購入したのでは、「頭隠して尻隠さず」となってしまいます。つまりカーボンニュートラルは、個別企業ではなくサプライチェーン全体での削減が求められるため、取引先企業にも削減要請が来るのです。
2点目は、児童労働です。児童労働とは、言葉の通り子供を働かせる(適切な教育を受けさせない)ことですが、日本ではあまりピンときません。ですが、これもグローバルなサプライチェーン全体での検証が必要になります。数年前にアパレル業界で問題になったのですが、綿花の原産地である新疆ウイグル自治区で、児童が農作業に従事させられているとして、その綿花を原材料とした服飾品を販売していたグローバル企業に強い批判が寄せられたことがあります。また、砂金や宝石の採取など、地道な手作業が求められる労働にも、児童を従事させて問題になることがあります。児童労働に関しては、最終製品を販売する大手企業から、児童労働によって生産された原材料を使っていないという証明書の交付を求められることがあります。原産地での活動状況も把握しておく必要があるのです。
3点目は、紛争鉱物です。これは、紛争地域で産出された鉱物を売買することで、現地の反社会的勢力の資金源となり、紛争の悪化や非人道的行為の助長につながってしまうという問題です。これも児童労働と同じく、原産地において反社会的勢力の資金源になっていないことの証明書を求められることがあります。
まとめ
以上、簡単ではありますが、日本の中小企業に影響がありそうなSDGsの知識について解説しました。SDGsは、目標があまりにも大きすぎて、考えているうちに迷走してしまうことが多々あります。大手企業がホームページに載せている社会貢献も、「うーん、他になかったのか?」と言いたくなることがあります。
ですが、多少の的外れがあったとしても、社会の総和としてゴールに向かっていればよい、これがSDGsの本質ではないかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント