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何から準備する?

更新日:2022年6月16日

事業承継の覚悟を固めた経営者は、何から準備すればいいでしょうか?以下では、事業承継に必要な準備について解説します。


まず最初に考えるのは、後継者の有無です。社内に後継者候補がおらず、今から育成するのも外部から招へいするのも難しいのであれば、狭義の事業承継は不可能であり、広義の事業承継である会社譲渡か、そのいずれも失敗すれば廃業しかありません。第三者の手に渡る会社譲渡や、会社が消滅してしまう廃業を避けたいのであれば、後継者を育成することをおろそかにしてはいけません。


次に、従業員の雇用と技術の承継について考える必要があります。従業員の高齢化が進んでいれば、その従業員の退職により技術が途絶える可能性があります。また若手に技術を承継するにしても、人材の確保や時間的制約などで難しい場合もあります。このように、従業員の年齢バランスが崩れているとか、技術の承継に円滑さを欠いているなど、会社の根源的価値が毀損している場合は、事業承継の受け手にとって魅力が削がれてしまいます。わが子のように大事に育てた会社が、企業として高い評価を受けて引き継がれるためには、従業員や技術など時間のかかる課題を早めに解決しておくことが肝要です。


その次に考えなければならないのは、土地建物や工場設備などの問題です。一連の製造工程のうち一部の設備が欠けていれば、その工程で必要な加工は外注に出すしかなく、その分在庫管理、受発注管理、納期管理が難しくなりますし、何より短納期対応ができずに受注を逃してしまうリスクもあります。逆に一部の設備だけ最新鋭に更新して生産能力が向上しても、他の工程の生産能力が変わらなければ、全体としての生産能力は上がらず無駄な投資です。また土地や工場建屋についても、過去の好景気時に増床増設したものの、今は受注が縮小してピーク時の何分の一しか生産していないのであれば、事業承継の受け手にとって不必要な過剰資産です。このような観点から、固定資産全般を見直して承継しやすい環境を整えることが、譲渡側の経営者にとって必要とされます。


最後に重要なのは、財務面での検討です。これは、上記のすべてに関係する項目ですので、事業承継の最初から最後まで、継続的に進める必要があります。役員借入金は精算するのか、債務保証のついた借入金も含めて承継するのか、引退に際して退職金は取るのか、有価証券やゴルフ会員権の売却、保険契約の解約などで借入金を返済するかなどを勘案して、結果として企業価値はいかほどになるのかを試算する必要があります。また、親族で株式を分散所有している場合には、事業承継の方針について合意を取っておかなければ、いざ譲渡の時に思わぬ反対者が出ないとも限りません。


以上、一般的な製造業を想定して、事業譲渡に必要な準備について整理しました。まとめますと、事業譲渡には手間も時間もかかりますし、一方的な思いだけでは成立しない難題であることがお分かりになったかと思います。願わくば、経営者ご自身がお元気で、会社の状況も健全なうちに、早め早めの手を講じておいていただきたいものです。



 
 
 

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